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色鮮やかなイルミネーションが夜の街を照らしている。 無機質なコンクリートでさえもその光を浴びて輝き、美しい物なのかと錯覚させた。 そうやって彩られたこの街の景色を今現在私は堪能できずに居る。 「ね、離れて」 「嫌だ」 ぎゅう、とまた腕に力が入るのを感じたが、それは心地良い束縛だとは感じられなかった。 縛り付けられているのは体ではなくもっと奥深くのような。 輝く街を贅沢に見下ろしながら私は息を無意識に漏らす。 溜め息にも似たその息は行き先もなくその場で消える。 「・・・・・・・・・」 「ねえ、」 「離れたくないんだ」 「でも、ね」 続く言葉を発しようとした所でまた唇を塞がれるであろうことは理解している。 現に今だって馬鹿みたいにヤケクソな口付けをされている最中なのだ。 愛情の欠片も見当たりやしない。 本人はきっと愛だと言い張るのだろうが私からするとそれは己が己に掛けた暗示なんだろうと思う。 ・・・私に執着なんかしても何もメリットなんてないのに。 それでもこうして彼の胸板を押し返せない私が居る。駄目だなあ・・・本当に私というやつは、弱い。 「・・・・・・っは、狭いわ」 「狭くて構わないさ」 そうやってまた彼は私を腕の中へ押しつぶすように閉じ込める。 けして優しくないそれは私にとっての檻なんだろう。とても冷たい。 「君は俺を捨てるなんて出来ない」 「あなたがそうさせないんでしょう」 「捨てようと思えば俺なんていつでも捨てられる・・・って気付いてるよね」 「・・・・・・」 「こんな力のない腕なんて、無いに等しい」 腹に感じる圧迫感がまた強くなる。 でもそれはあまりに力の無い、少しでも身動ぎすればすぐにでも解けてしまう程の。 首筋に何かが落ちる感覚。 ああ――彼の顔は綺麗に歪んで濡れている。 「俺が泣いて、抱き締めたら君は逃げられないよ」 「私は厭よ・・・私は、逃げ」 「逃がさない」 弱りきった彼の懇親の力であろうその懇願は私を縛るのに十分だ。 硝子越しに見える街の光もそろそろ消えていく。星は見えない。 頭がくらりとしていく。 私の頭の中から逃走という言葉が徐々に消え失せていくのが感じ取れた。 やがて、視界は暗くなる。 それが街の灯りが消えたからなのか私が瞼を伏せたからなのかはもはや考えられなかった。 |