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00 この世には幾百、幾千、幾万、幾億もの物語が人の手によって創られており、 また人が生きるその最中にも数え切れない程の多くの物語が生き続けている。 その物語が恋愛物だったりあるいはアクション物だったり涙を誘う感動物だったり、物語はこれまた多くの種類に分類されてゆくものなのだが 必ずその種類種類には王道的オチというものが存在する。 恋愛物だったら恋の相手は幼馴染でした、だとか図書室で手が触れ合った相手が気になる異性だった、だとか。 俗にいうベタな展開である。 王道と言うのであればその意味をあるがままに受け入れればそれは人から好まれる展開であるというのが一般論だ。 しかし今の世、『図書室で手が〜』なんて恋愛を好むような夢見がちな女性男性はそうそう見つからないであろう。 稀に居るのかもしれないが、まずそんな展開になるなど可能性はほとんど0%に等しいことは誰にでも容易に推測できる。 そして彼女も例外なくそんな王道的シチュエーションを好むような人ではないし、 寧ろ平々凡々こそが唯一無二の平和への道であるといった年の割りにシビアな考え方をするような人だった。 夢を見ることなど忘れ、というか忘れる以前にそんな夢を見ることなど幼い頃から一度もなく (ポケットを叩けばビスケットがふたつ、なんてただ割れているだけだろうが莫迦) ただただ平凡に生きたかっただけの、そんな人。 ちなみに今まで長いスペースを使い演説をしてきたこの話というのはこれから始まる新たな物語とはあまり関係の話であることを理解しておいてほしい。 「・・・・・・え?」 彼女はふと指先に感じた刺激が脳に伝わった瞬間思考が一時停止した。 微かに感じる柔らかさと、ひんやりとした冷たさ。 その冷たさは彼女の体温が彼の体温よりも温かかった |