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銃口が私に向けられた時、ああ――私死んだな――なんて悠長に考えた自分の呑気さに驚いた。 その感情が意味することというのは私があまりにもこの世の何かに対して執着が無いということだろうなと憶測できる。 大事なものだって大切な人だってきちんと居るのだが、どうしても自分の中での優先順位内に入らないのだ。 私はこういう考えを持つ自分を好きだなんて思っていないし(寧ろ大嫌いだ)、その考えを改めようとした時もあった。 しかし考えれば考えるほどにその憶測は確実な事実へと変わってゆく。 やはり私は何にも執着が持てない。「大事」だの「大切」だのとは認めるくせに、手放せと言われると何の心残りもなく手放せる。 (・・・それをポジティブに考えれば潔いという言葉にも置き換えられるか) では何が私の中での最高優先事項なのか? それが分からないから悩んでいるのである。 ちなみに死という状況に直面していて且つ微塵も動じないという時点で今の私にとって「自身の生命」というものが 優先順位の中にランクインしていないということは一目瞭然だ。 なら他人の生命はどうか。もしもお父さんやお母さん、友達が命を失ったなら―ああ、これはちょっと嫌だ。 まあしかし割り切ってしまえば割り切ってしまうまでのこと、と考えてしまうのでこれも違う。 もしも私がアリスだったのなら物語はきっと寸分も展開しないままで終わっていたのだろう。 慌てふためき饒舌に喋りながら穴へと落ちる兎が居たところで知ったこっちゃない。 「ふうん」と相槌を打つわけでもなく、「まあ」と驚くわけでもなく。 (ああ、じゃあアリスは) 私と違ってとても好奇心旺盛な少女だ。 そして何かに興味を持てるということは何かを愛することが出来るという証拠である。 彼女は―アリスは、多分ごく普通でありふれた少女だったのだろう。 自分でも分かってる。何かを愛することが出来るという人間なんて、どこにだって居るのだと。それが普通なのだと。 ならアリスは一体この世にどれほど居るのだろうか。 一般的だと称される人間なら誰しもがアリスなのだろうか。 だとしたらきっと私はアリスになんて一生なれない。兎を追いかけることすらもできないのだから。 でもほんの少しだけ願うのが許されるなら穴を覗くことぐらいはしてみたかったなあ、なんて思ったところで (もう私、生きれないじゃない) 銃弾が突き抜けた。 もう少し考えてから引き金を引けばよかった・・・なんて後悔する暇なんてないほどに速く速く、 |